抄録
教室において根治手術を施行しえた両側例を除く35歳以下の若年者乳癌患者108例の背景因子および治療成績を臨床病理学的に非若年者群と比較検討した.若年者乳癌は,妊娠授乳期例が多く,腫瘤が大きく,生検率やリンパ節転移陽性率が高いことが特徴的であった.全体として若年者乳癌の累積生存率は非若年者に比べやや不良であるが,有意差はみられなかった.また,手術時期別には, 1980年以降の早期乳癌手術例の治療成績の向上がみられた.組織別頻度に差はみられなかったが,若年者の硬癌の予後は非若年者に比べ有意に不良であった.以上より,若年者乳癌に対しても非若年者と同様病期や進行度に応じた術式や補助療法の選択が必要であり,特に硬癌に対しては術後も強力な補助療法や,きめ細かな経過観察が必要であると思われた.