抄録
原発性肺癌切除症例53症例に,開胸時に胸腔内を50mlの生理食塩水にて洗浄しその洗浄水の細胞診を施行した.癌細胞陽性は13例24.5%であった.組織型では腺癌が多く,病理病期ではstage Iが6例, stage IIが1例, stage IIIAが4例, stage IVが2例であった. p因子別ではp2例が多かったが, p0は2例にみられた.また, ly因子陽性, v因子陽性の症例が多かったが,洗浄細胞診陰性例にもly因子陽性, v因子陽性が多く,両者間に有意差は認めなかった.洗浄細胞診陽性例の13例中9例は2年以内に死亡し,死因は遠隔転移によるもの5例,胸腔内再発例2例,他病死2例であった. Kaplan-Meier法により生存率を検討すると,陽性例の予後は不良であり,現在まで3年生存例はいない.開胸時に胸腔内に潜在的に癌細胞が存在する場合は根治手術を行っても術後再発し,予後不良の一指標となる可能性がある.