抄録
大腸癌切除例569例の中で低分化腺癌33例を大腸癌取扱い規約にのっとり,最も多い高分化腺癌355例と対比しつつ,臨床病理学的検討を加えた.低分化腺癌は全体の5.8%と低率であった.占居部位は,高分化腺癌にくらべ結腸に多く,しかも右側結腸の頻度が高く,肉眼的形態は浸潤潰瘍型が多かった.肝転移は21.2%,リンパ節転移は66.7%で,しかも転移陽性例の27.2%が3群リンパ節転移であった.壁深達度がs (a2)とsi (a1)の症例は81.8%,リンパ管侵襲は97%,静脈侵襲は87.9%に陽性であった.以上,高分化腺癌と比較して,すべてが有意に高率であり,したがってstage IV・Vの高度進行例が多かった.治癒切除率は54.5%と低く,全体の5年生存率は, 38.4%と低率であった.しかし,治癒切除例のそれは59.6%であり,高分化腺癌の75.1%と比較して,有意差はなかったものの,部位別に検討すると,右側結腸の低分化癌の予後は不良であった.
予後の改善には,特に右側結腸癌の早期発見と3群までの十分なリンパ節郭清が重要と考えられた.