抄録
大腸早期癌57例を臨床病理学的に検討すると有茎性早期癌に比べて無茎性早期癌の方が腫瘍径は大きく,腺腫合併率は低かった.また右側早期癌で無茎性sm癌の頻度が高く,腺腫非合併無茎性sm癌の腫瘍径はより大きい傾向が認められた. m癌では脈管侵襲を伴ったものは認めなかったが, sm癌では無茎性で,腫瘍径が2cm以上で,深達度sm 3で,生検で腺腫成分を認めず, DNA ploidy patternでaneuploidの症例はリンパ管侵襲の可能性が高く,転移,再発危険群として根治手術の適応となると思われ,これ以外の症例では内視鏡的あるいは局所切除で十分であると思われた.