抄録
1985年1月より1990年8月までに旭川厚生病院外科で経験した大腸癌切除例のうち低分化型癌(低分化腺癌,印環細胞癌,未分化癌) 9例(3.1%),粘液癌10例(3.4%)を分化型癌(高分化腺癌,中分化腺癌) 275例と臨床病理学的に比較検討した.前二者は後者に比べ平均年齢が低く,腫瘍占居部位は右側大腸に高率で,また組織学的壁深達度は全例ss(a1)以上であった.また低分化型癌はリンパ節転移n(+) 89%,リンパ管侵襲ly(+) 77%,静脈侵襲v(+) 56%,肝転移33%と分化型癌より高率であった.一方粘液癌は肝転移を認めないが,腹膜播種が40%と高く転移様式に差がみられた.予後では低分化型癌が最も悪く, 4年生存率33%であった.
従って低分化型癌では浸潤傾向が強く,遠隔転移も高率に起こすことを念頭にいれ治療をすることが肝要と思われた.