抄録
虫垂憩室はまれであり本邦では66例の報告しかみられない.今回われわれは虫垂憩室の1例を経験したので報告する.症例は23歳女性,右下腹部痛があり来院し,急性虫垂炎の疑いにて入院,手術となった.虫垂間膜に母子頭大の腫瘤を触れ虫垂切除術を施行した.虫垂粘膜の炎症はなかったが粘膜下に腫瘤を形成しておりその一部に膿瘍があり,虫垂憩室と思われる構造も認めた.病理組織検査にて虫垂間膜内に4個の憩室の腺管と憩室炎による膿瘍が認められた.憩室は仮性憩室と診断された.虫垂憩室の治療方針は憩室炎が起こった場合はもちろん手術適応となるが,無症状のまま注腸検査などで発見された場合,虫垂切除術が侵襲も少なく安全な手技であることと,虫垂憩室は結腸憩室に比べ穿孔率が高いことから虫垂切除術を施行することが望ましいと思われた.