抄録
胃全摘術後早期に腹痛,下痢などを伴わず頻脈,発熱,ショックにて発症した偽膜性大腸炎を経験した.消化管手術後早期に本症を発症した場合,腹部症状に乏しいことが多いため,比較的早期に診断され,治療を開始できた本例は貴重な症例であると考えられるので報告する.
症例は52歳,男性.原発性胃悪性リンパ腫の診断にて,胃全摘術を施行され,手術当日よりセフォタキシム(CTX)の投与を開始した.術後第3病日より著しい頻脈,発熱,ショックをきたし,対症療法を行うも全身状態は改善しなかった.また,原因の追求を行ったが,縫合不全,腹腔内出血等の合併症を認めなかった.第4病日に大量の水様性下痢をきたし,大腸内視鏡を施行し肉眼所見および生検組織診断より偽膜大腸炎と診断した.塩酸バンコマイシンの投与,大量補液を行い,大腸炎,全身状態は急速に軽快をみた.