抄録
多発性骨髄腫とS状結腸癌の同時性重複癌の1手術例を経験したので報告する.
症例は64歳,男性.一般血液検査で高γグロブリン血症を指摘され,精査の上, IgG(λ)型多発性骨髄腫の診断を受けた. Melphalan内服開始直後に,左下腹部痛増強したため注腸X線検査を施行. S状結腸癌の診断にてS状結腸切除およびリンパ節郭清術を行った.術後30日目に退院したが,その後,骨髄腫に起因する汎血球減少症から呼吸器感染症を併発し, Melphalan開始後11カ月, S状結腸切除術後9カ月にして死に至った.
大腸癌から見ると骨髄腫の合併は稀であるが,骨髄腫から見ると悪性疾患を合併しやすい傾向にあり,骨髄腫の合併症として,重複癌の可能性には十分留意すべきである.加えて,大腸癌手術を施行する際には骨髄腫特有の病態を考えて,腎不全,縫合不全に注意し手術管理を行わなければならない.