抄録
結腸カルチノイドは,比較的稀な疾患であるが,今回われわれはS状結腸カルチノイドの1穿孔例を経験したので報告する.症例は, 67歳,女性.注腸造影にてS状結腸癌穿孔による腹膜炎と診断し, S状結腸切除人工肛門造設術を施行した.腫瘤は径10cmほどで同部に約5mm大の穿孔を認めた.病理組織学的には,カルチノイド腫瘍で広範な浸潤像が見られた.術後多発肝転移を生じ,肝動注等を繰り返したが全経過8カ月で肝不全にて死去した.結腸原発カルチノイドは,過去10年間に当教室で経験した消化管カルチノノド29例のうち2例(6.9%)と比較的少なかった.またカルチノイドの穿孔例は,われわれが検索し得た限り,自験例を含めて2例しか認められず,極めて稀なものと思われた.本症例の臨床像ならびに予後を検討し,若干の文献的考察を行った.