抄録
症例は43歳,男性で皮下結節性脂肪壊死および骨髄脂肪壊死を合併した慢性膵炎に対する治療として膵亜全摘術を施行した.その結果,慢性膵炎,皮下結節性脂肪壊死は改善をみたが,晩期には骨髄脂肪壊死は増悪し,手術後3年5カ月目に多臓器不全にて死亡した.
皮下結節性脂肪壊死症が膵疾患に関係していることは1883年のChiariの報告以来,欧米ではいくつかの報告がなされている.しかし本邦での報告例は非常に少なく,自験例を含めて11例に過ぎない.このうち膵炎に関係する症例は7例であり,手術施行例は3例であった.骨髄壊死,脂肪壊死が膵炎による膵逸脱酵素の流出が主因と考えられる場合には根治手術として膵亜全摘術が望ましいと考えられ,本症例は骨髄壊死,皮下結節性脂肪壊死の成因を考える上で貴重な症例であった.