抄録
72歳女性にみられた腫瘤と腹痛を主訴とする上腹部の大半を占める悪性非機能性膵島細胞腫の1例を経験した.画像診断所見として,血管造影でhypervascularな腫瘍の濃染像がみられ, CT像はenhanceで不均一な早期濃染と嚢胞状変化を呈し, US検査で低エコーと高エコーの混在型や石灰化がみられ,ホルモン異常上昇による症状も無いこととあわせて非機能性膵島細胞腫を疑い外科的切除を行った.腫瘍は膵体尾部に存在し,大きさ15×13×8.0cmで肉眼的に肝に小転移巣も見られ,膵体尾部脾切除および肝部分切除を行った.本症は稀な疾患で,悪性の頻度は高いが腫瘍の発育速度は遅く,外科切除による予後は良好とされている.自験例は術後より測定していたneuron specific enolaseの高度上昇で,肝転移再発が発見され腫瘍マーカーとしての有用性が示唆できた.現在,延命を期待して動注化学療法や肝動脈塞栓術を始めとする集学的治療を考慮中である.