抄録
症例は43歳女性で,数年来の上腹部膨満感を主訴として某医を受診し,右上腹部腫瘤を指摘され当科を紹介された.腹部超音波検査, CTスキャン,血管造影検査などにより後腹膜嚢胞を疑い手術を施行した.摘出標本は19×16×15cmの嚢胞で壁は極めて薄く,壁の表面に副腎組織の一部がみられた.また嚢胞は単房性で,約2,500mlの漿液性内容を貯溜していた.組織学的には副腎血管腫性嚢胞であった.
本症は比較的まれな疾患である.またほとんどが良性で,穿刺・吸引などの保存的治療も行われているが,自験例のように巨大で,圧迫症状を伴い,自然破裂の危険性がある場合は手術適応と考える.