抄録
症例は67歳女性, 1990年6月より食物のつかえ感出現し当センター入院.食道造影にて下部食道に漏斗型狭窄を認めたが粘膜面の不整はなかった.食道内視鏡検査にて切歯列より37cmにて全周性の狭窄を認めたが生検にて悪性像は認められなかった. 8月13日下部食道噴門部切除術施行.腫瘍はEi領域に存在し,長径約3cm,全周性に粘膜下腫瘍様に発育しており,また口側端に約7mmのIIc様陥凹を有していた.病理組織学的に癌胞巣は充実性で,主に小型の類基底細胞からなり,また一部に好酸性に染まる扁平上皮分化を示す細胞集団や偽腺管様の構造を示す部分も認められ類基底細胞癌と診断した. 1990年に食道癌の病理分類の改訂が行われ,本症の定義が従来と若干の違いはあるが,過去10年間の食道基底細胞癌本邦報告例を参考に若干の文献的考察を加え報告する.