日本臨床外科医学会雑誌
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虫垂粘液嚢腫による絞扼性イレウスの1例
片桐 一川端 啓介堀口 実岩渕 正之
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1992 年 53 巻 6 号 p. 1385-1389

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抄録
虫垂粘液嚢腫は虫垂内腔に粘液が貯留し嚢腫状に腫大した状態を言い,さほどまれな疾患ではないが,絞扼性イレウスを併発することはまれである.最近われわれは,絞扼性イレウスを併発した虫垂粘液嚢腫の1例を経験したので報告する.症例は77歳,女性で腹痛を主訴に来院.ショック状態で腹部は全体的に膨隆し,腹部超音波検査にて絞扼性イレウスを疑い緊急手術を行った.嚢腫状に腫大した虫垂先端が腹膜に癒着しこの係蹄によって回腸が1mにわたり絞扼壊死に陥っていたため,壊死回腸及び虫垂を含めた盲腸を切除した.虫垂先端は5×3.5cmの卵型腫瘤で,単房性,壁は薄く平滑で,白色半透明のゼリー状粘液が充満しており虫垂内腔との交通はなかった.病理組織学的には虫垂粘液嚢腫腺腫で,絞扼腸管は全層性の出血性壊死であった.虫垂粘液嚢腫の合併症として絞扼性イレウスが発症することはまれで,本邦14例目である.
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