抄録
バリウムによる胃透視は日常広く行われているが,ときに消化管穿孔によるバリウム腹膜炎をおこす.今回,われわれは76歳女性で胃透視後4日目にバリウム停滞によるS状結腸穿孔をきたした症例を経験した.大腸には癌,憩室などの器質的病変はなく,バリウム排泄遅延に対する浣腸が穿孔の誘因となった.手術は腹腔内を洗浄し,ドレナージして穿孔部は閉鎖し,横行結腸に人工肛門を造設した.
胃透視後のバリウム停滞による大腸穿孔は本邦で21例目の報告となるが,その多くは透視後3~5日目に発生しており,透視後のバリウム排泄の確認が重要である.また,大腸穿孔によるバリウム腹膜炎の治療,予防などについて文献的考察を加えた.