抄録
Caragana korshinskii Kom. はマメ科の灌木で,中国北部に自生し砂丘緑化によく用いられる。しかし C. korshinskii による砂丘固定の効果が長期間持続するには,種子による天然更新が必要である。そこで中国内モンゴル自治区の砂丘緑化地において,植栽された C. korshinskii の種子散布と実生の発生および枯死を3 ヶ月にわたって調査し,天然更新の可能性を評価した。C. korshinskii の実生の発生と枯死は,降雨にともなう土壌含水率の変化に大きく影響されていた。1 個体が散布した種子のおよそ6 %に相当する実生が発生し,そのうち約半数がその年の秋まで生残した。内モンゴルの砂丘緑化地では,植栽された C. korshinskii の天然更新は可能であるものの,夏期の降雨パターンに大きく影響されると考えられる。本研究は家畜の侵入を制限して行われたため,今後は家畜による食害の影響も検討する必要がある。