抄録
腸管型Behçet病は比較的稀であるが,穿孔の合併率は高いと言われている.今回われわれは,腸管型Behçet病の小腸穿孔例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は63歳女性,約2.5年前よりBehçet病にて加療中であった.主訴は腹痛,来院時腹部は軽度膨隆し,全体に圧痛,抵抗および筋性防御を認めた.また腹部単純X線にてfree airを認めた.消化管穿孔の診断にて緊急手術を施行した.初回手術時に回腸に穿孔を認めた.腸壁の炎症性変化が強く,また穿孔原因が不明であったために穿孔部の縫合閉鎖,回腸瘻造設および腹腔ドレナージを施行した.初回手術後ステロイドホルモンなどの投与にてコントロールを行った.回腸瘻造影や大腸内視鏡を施行して病変部の確認を行った.二期手術は回盲部切除を行い,初回手術後104日目に軽快退院した.