日本臨床外科医学会雑誌
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教室における腹腔鏡下胆嚢摘出術と開腹胆嚢摘出術との比較検討
高林 直記木村 泰三吉田 雅行大場 範行梅原 靖彦桜町 俊二松田 寿夫和田 英俊Tsuyoshi IMAIZUMI原田 幸雄
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1992 年 53 巻 8 号 p. 1811-1816

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抄録

今回われわれは,腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下LSC)の安全性を証明するためにLSCと開腹胆嚢摘出術(以下開腹術)とで術後経過,合併症等につき比較検討した. LSC群は,初期の症例を除く50例を対象とし,開腹術群は,当教室の開腹胆摘症例中,比較検討可能な50例を対象とした.
術前診断は,両群とも胆嚢内結石が大部分であった.平均術後在院日数は, LSC群で7.5日,開腹術群で13.9日であった.術後経口摂取開始までの日数は, LSC群で1.2日,開腹術群で3日であった. GOT, GPT, LDHが両群とも術後直後に上昇したがその程度は両群で有意差はなかった.術後合併症は両群に胆汁漏,高アミラーゼ血症,一過性のビリルビン上昇等がみられたがいずれも良好な経過をたどった.
LSCは開腹術と比べて合併症の頻度は変わらず,術後経過よりみて侵襲の軽い事が示された.今後LSCは標準術式として大部分の症例に適応できると考えられた.

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