抄録
症例は80歳男性.突然の上腹部痛を主訴に受診した.来院時,腹部所見は板状硬で,単純X線写真上free airを認めたため,穿孔性の汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.開腹時の所見は,胃体上部小彎前壁に径6cm大の硬結を触知し,その中心に径8mm大の穿孔部を認めた.術中施行した内視鏡所見でIIc類似進行型の胃癌穿孔(P0H0N2S2)と診断し,胃全摘リンパ節郭清R2切除術を施行した.病理組織学所見では,穿孔部の辺縁にのみ深達度smの中分化型管状腺癌を認めたが,その他には癌細胞を認めずIII+IIc型早期胃癌穿孔と診断した.胃穿孔症例では,術中内視鏡検査が良悪性の鑑別,術式の選択に有用であると思われるが状況により困難なこともある.以上より可能な限り積極的に凍結切片による迅速病理組織検索を行い,また単純閉鎖術を施行した症例には,術後十分な内視鏡による追跡が必要であると思われたので本邦報告例45例の検討を加えて報告する.