抄録
体部Borrmann 3型胃癌に対し,胃全摘術・膵脾合併切除術後10カ月目に発症した髄膜癌腫症の1例を経験したが,髄腔内への制癌剤投与が有効であった.患者は62歳の男性,組織学的には印環細胞癌で,深達度se, ly3, v0とリンパ管侵襲の著明な胃癌の術後10カ月目に,激しい頭痛で発症し,髄液細胞診で印環細胞癌を確認した.血清CEA値は正常であったが,髄液中のCEA値が高値を示し診断上有用であった.髄腔内へのmeth-otrexate, cytosine arabinoside投与により癌細胞は著明に減少, CEA値も正常化し,約8カ月の効果期間が得られた.文献的には発症後3カ月以内にほとんどの症例が死亡するとされており,全身的な化学療法と髄腔内への制癌剤投与によって,本例のように延命効果が期待できる症例があり,積極的な治療が重要と考えられた.