日本臨床外科医学会雑誌
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胃平滑筋肉腫の異時性肝転移の2切除例 -自験例と本邦報告例の検討-
清水 久和石川 正美久代 裕史横川 京児田村 清明飯島 恒司
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1992 年 53 巻 8 号 p. 1886-1890

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抄録

胃平滑筋肉腫は比較的稀な疾患であり,しかも予後は必ずしも良好ではなく治療に難渋することが多い.今回,われわれは胃平滑筋肉腫の異時性肝転移に対し, 3回の肝切除を行った1例と, 2回の肝切除を行った1例との2症例を経験したので報告する.症例1は52歳女性.胃全摘術施行し,術後13カ月目に腹部超音波検査にて肝右葉に肝転移を指摘し切除した.同様に初回手術より21カ月目に肝左尾状葉切除と左外側切除を施行し,さらに34カ月目にも肝右葉の部分切除を施行した.症例2は36歳女性.胃全摘術施行し,術後7カ月目, 12カ月目の2回肝転移を指摘されいずれも切除した. 2症例とも術後の経過は良好で,その後の再発も認めていない.肝切除後も綿密な経過観察によって,新たな肝転移の発見に努め,肝転移を認めた場合でも適応を満たせば,肝切除は予後改善に十分役立つものと思われた.

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