抄録
虚血性小腸炎をきたした腹部アンギーナの1例を経験した.症例は54歳,男性. 1990年7月,朝食後,突然の腹痛,下痢が出現し,近医に入院. Crohn病の疑いで保存的治療を受け症状軽快し, 9月初旬退院となった.その後精査目的で当院消化器内科に入院となった.小腸X線検査で,回腸末端に約50cmにわたり全周性の管状狭窄が認められた.また腹部血管造影検査では,上腸間膜動脈本幹起始部の狭窄と中結腸動脈および回結腸動脈の閉塞を認め,これらの所見と食後の症状発現などから,虚血性小腸炎をきたした腹部アンギーナと診断した.手術は回腸部分切除術および右胃大網動脈と上腸管膜動脈空腸枝との動脈バイパス術を施行した.腹部アンギーナはまれな疾患であり,原因不明の腹痛患者に対しては,本疾患を考慮に入れ,積極的に血管造影検査を試みることが望ましいと思われる.