抄録
1984年4月から1991年9月までに経験した特発性大腸穿孔14例について検討した.特発性大腸穿孔は便秘傾向のある,高齢の女性に多くみられた.穿孔部位は直腸S状部, S状結腸が大部分で,腸間膜対側に多かった.ショック症状を呈した症例は5例で,このうち4例は白血球数の増加がみられなかった.発症から手術までに要した時間は24時間以内が7例で,ショックを合併した5例は全例この中に含まれていた.重症例は早期からショック症状を呈し,白血球数は正常あるいは減少した症例が有意に多かった. 14例中1例を術後合併症のため失った.死亡率は7.1%であった.手術術式と術後合併症との関係では,人工肛門を造設した症例では術後合併症が有意に少なく,人工肛門の造設は合併症の予防に有用と考えられた.術後合併症は創感染が最も多く,術後入院期間は創感染を併発した例では有意に長かった.