日本臨床外科医学会雑誌
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乳癌における腫瘍マーカーBCA225に関する研究
杉山 和義八木 義弘
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1993 年 54 巻 2 号 p. 302-312

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抄録
新しい腫瘍マーカーBCA225の基礎的・臨床的検討を行った.健常者のBCA225値は対数正規分布を呈したので,特異度が94.0%,感度が72.5%となる160U/mlをカットオフ値とした.臨床的効果に関して,原発乳癌の術後病期ではstage Iで6.2%, stage IIで24.1%, stage III・IVで29.4%,再発乳癌では66.7%と病勢を反映し,陽性率が上昇する結果が得られた.同時に検討したCA15-3やCEAと比較しても同等以上の陽性率が得られた.さらにCombination assayを施行することによりより高い陽性率が得られた.特に再発乳癌においては, BCA225 and/or CA15-3 and/or CEAで77.8%の結果が得られた.再発臓器特異性に乏しいものの再発乳癌に対する高い感度を生かした乳癌術後のFollow-upや治療効果の判定などに臨床的意義が考えられた. BCA225が認識する抗原は乳腺細胞における乳汁産生機能と深い関わりを持ち乳腺の癌化にともなって発現する糖蛋白であると考えられた.
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