日本臨床外科医学会雑誌
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第VIII因子関連抗原染色を用いた乳癌の血管侵襲と病理学的因子との関係についての検討(第3報)
Elastica van Gieson染色を併用して
加藤 孝男木村 恒人村木 博神尾 孝子藤井 昭芳山本 和子浜野 恭一相羽 元彦河上 牧夫
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1993 年 54 巻 2 号 p. 294-301

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抄録
原発性乳癌124例を対象とし,第VIII因子関連抗原染色にElastica van Gieson (El. v. G.) 染色を併用して乳癌の血管侵襲を検索した.全症例のv (+) は43.5%であり, v (+) 例の10生率は48.1%と不良であった.一方v (-) 例の10生率は75.7%と良好であった (p<0.002). 乳頭腺管癌のv (+) は23.3%であり,充実腺管癌の49.0%, 硬癌の56.7%に比べ有意に低かった (p<0.03, p<0.01). 乳頭腺管癌でもv (+) の10生率は42.9%で, v (-) 例の91.3%に比べ予後不良となった (p<0.006). n (-) 例のv (+) は29.7%であったが, n (+) 例では58.3%と高く有意差が認められた (p<0.002). n (-) 例でもv (+) の10生率は63.2%で, v (-) 例の93.3%に比べ予後不良となった (p<0.003). 血管侵襲はn (-)例のhigh risk factorの一つであると考えられた.第VIII因子関連抗原染色にEl. v. G. 染色を併用した方法は血管侵襲の検索に有用であり,血管侵襲は重要な予後因子になることが示唆された.
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