日本臨床外科医学会雑誌
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左傍十二指腸ヘルニアの1例
遠近 直成公文 正光荒木 京二郎
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1996 年 57 巻 2 号 p. 389-392

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抄録
左傍十二指腸ヘルニアを経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は45歳の男性で, 12年前より時々上腹部痛を経験していた. 7年前上腹部痛と嘔吐を主訴として当院を受診し,精査するも原因不明のまま軽快した.その後も間欠的な腹痛があったが,短時間で軽快していた.今回は激しい上腹部痛を主訴として来院し,腹部単純X線写真にて左上腹部に小腸の鏡面像を認め, CT検査にても同部位に小腸の嚢状集積像を認めた.絞扼性イレウスの術前診断にて開腹したところ,左傍十二指腸ヘルニアが認められ,ヘルニア内容を還納しヘルニア門を閉鎖した.
傍十二指腸ヘルニアの本邦報告は自験例を含め81例とまれであり,緊急手術例が多い.しかし特徴的な所見も有しており,本症を念頭におけば,術前診断も可能であると思われた.
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