日本臨床外科医学会雑誌
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Richter's herniaを契機に発見された小腸悪性リンパ腫の1例
中村 利夫土屋 泰夫長渡 裕子梅原 靖彦坂元 隆一佐野 佳彦大久保 忠俊森山 龍太郎
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キーワード: 小腸腫瘍, 悪性リンパ腫
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1996 年 57 巻 2 号 p. 393-396

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抄録
小腸の悪性リンパ腫は比較的まれだが,特異的症状に乏しく,発見時には進行している例が多い.最近われわれは小腸悪性リンパ腫が鼠径ヘルニアに嵌頓した1例を経験したので報告する.症例は39歳男性.主訴は右下腹部腫瘤である.平成6年4月より腫瘤に気付き, 9月には食欲不振と嘔気が出現, 11月近医受診し当科を紹介され11月14日に入院となる.現症は腹部平坦で軟,右鼠径部に鶏卵大の腫瘤を触知する.貧血黄疸なく表在リンパ節は触知しない. CTおよび小腸造影にて回腸壁が嵌頓したRichter's herniaと診断し, 11月24日手術施行.開腹すると回腸末端より約5cmで回腸が内鼠径輪に嵌頓しており,回盲部切除およびヘルニア孔を腹腔側より修復して手術を終了した.嵌頓した腸管壁の病理組織検査より小腸悪性リンパ腫と診断され,術後CHOP療法を行い現在外来通院中である.
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