日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
骨盤内発育を示した小腸悪性リンパ腫の2例
板橋 幸弘森田 隆幸滝口 純野田頭 達也伊藤 卓中村 文彦今 充
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 58 巻 2 号 p. 410-414

詳細
抄録

画像診断上特徴ある所見を呈し,骨盤内発育を示した巨大な小腸原発悪性リンパ腫の2例を経験したので報告する. CTでは,腫瘍内に経口造影剤やガス像を認め,腫瘍は小腸原発と思われた. MRIでは, T2強調画像にて腫瘍内に消化管様構造を呈し, Gd-DTPA (diethylenetriaminepentaacetic acid: Magnevist)造影にて腫瘍内に消化管内容様の低信号域を呈した. 2例とも術前の確定診断は得られなかったが,小腸原発の骨盤内腫瘍として開腹術を施行した.術後の病理組織学的検索により小腸原発悪性リンパ腫と診断された.術後2例とも化学療法を施行したが症例2では術後4カ月で脳転移をきたし頭部への放射線療法,髄腔内への抗癌剤投与を施行,一時症状は軽快したがさらに肺転移をきたし初回手術から7カ月で死亡した.症例1は現在も再発の徴候なく生存中である.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top