日本臨床外科学会雑誌
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汎発性腹膜炎像を呈した悪性腹膜中皮腫の1例
宮下 知治南 昌秀新田 直樹滝田 佳夫北谷 真子蘇馬 隆一郎野々村 昭孝
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キーワード: 悪性腹膜中皮腫
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1998 年 59 巻 1 号 p. 231-235

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抄録

汎発性腹膜炎様像を呈した稀な悪性腹膜中皮腫の1例を経験したので報告する.症例は77歳,女性で便秘を主訴に1996年5月当院内科受診した.検査上,高度の貧血とCRP, CA125の上昇を認めた.消化管精査では異常所見を認めなかったが, CT検査にて肝表面と左下腹部に限局した腹水を認めた.試験開腹を施行し,腸管の強固な癒着と大網の板状肥厚を認め,肉眼的に汎発性腹膜炎様像を呈していた.大網の一部を生検し,組織学的にも肉芽腫性腹膜炎と診断された.全身状態不良のため入院後104病日目に死亡した.剖検では腹腔内臓器は一塊となっており大網および腸間膜に腫瘤様形成を認めた.病理組織および免疫組織学的所見によりびまん性悪性腹膜中皮腫の肉腫型と診断された.本邦では本症例の如く肉眼的に結節を伴わない汎発性腹膜炎像を呈した症例の報告は少なく,また悪性腹膜中皮腫の中でも肉腫型は特に頻度が低いとされ,若干の文献的考察も加えて報告する.

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