日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
降下性壊死性縦隔炎の2例
時津 浩輔立花 秀一川上 万平折野 達彦長谷川 滋人佐々木 進次郎
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 59 巻 1 号 p. 99-103

詳細
抄録

急性咽喉頭炎または口腔底蜂巣炎からいわゆる降下性壊死性縦隔炎を併発した2症例に対し,積極的なドレナージ・洗浄療法を施行し治癒せしめえたので報告する.症例は59歳男性で,膿瘍は気管・気管分岐部周囲を取り囲み,右前上縦隔に塊状に形成され,下方は後縦隔に降下し,両側膿胸も伴っていた.他の1例は23歳男性で,顕著な気縦隔が特徴的で,膿胸に加え,化膿性心膜炎による心タンポナーデ症状を認めた.これら2例に対し,抗菌剤投与に加えて,胸骨正中切開による縦隔ドレナージや心嚢ドレナージ,または肋間からの胸腔ドレナージ,さらに膿瘍腔洗浄療法を併用し治癒せしめえた.抗菌剤療法に抵抗し増悪する症例に対し,膿瘍の降下経路を充分にドレナージすることが良好な結果に結びつくと考える.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top