症例は42歳女性.胸部写真上右肺の巨大腫瘤影を指摘され入院.胸部CTで右胸腔内の背側中下部に巨大腫瘤影が認められ,胸膜或いは肺原発の良性腫瘍を考え,手術を施行した.後側方切開で開胸したところ,腫瘤は表面平滑で壁側胸膜との癒着はほとんど無く,上下葉間面の上葉と癒着していた.摘出した腫瘤は22.3×16.3×13.6cmで重量は2,300g,表面平滑で被膜を有し,割面は黄白色亢実性でほとんどが線維性成分で占められていた.病理所見は紡錘型細胞が主体で,悪性所見はなく,膠原線維の増生が強かった.免疫組織染色ではvimentin陽性でEMA, keratinは陰性であった.以上より臨床所見と合わせ広茎性の上葉肺胸膜原発の孤立性線維性胸膜腫瘍と診断した.当疾患は良性でも再発する可能性があり,術後も慎重な経過観察が必要である.今回のような胸腔内のほとんどを占める巨大な胸膜腫瘍は稀と思われるため文献的考察を加えて報告した.