日本臨床外科学会雑誌
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食道平滑筋腫上に合併した粘膜内癌の1例
酒井 哲也川口 勝徳原 章二裏川 公章出射 由香藤川 雄三
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キーワード: 食道平滑筋腫, 食道癌
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1998 年 59 巻 12 号 p. 3032-3035

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抄録

食道平滑筋腫上に食道癌が合併することは極めて稀であり,本邦ではこれまで20例が報告されているにすぎない.
症例は56歳女性.上腹部不快感を主訴に当院受診.内視鏡検査の結果,門歯列より22cmにやや白色調の低い隆起性病変を認めた.同部からの生検の結果,扁平上皮癌が検出されたため,右開胸胸部食道全摘,胸壁前食道胃吻合術を施行した.病変はIu前壁の0-I型2.2×1.2×0.2cm大で,肉眼的進行度はAo, No, Plo, MoのStage Iであった.病理組織像は20×14mmの粘膜筋板由来の筋腫上に10×18mmの粘膜内癌を認めた.
本症例を含めた本邦21例をまとめると,年齢は平均57.7歳,男女比は14:7と男性に多い.深達度は19例(90%)が早期癌であり,直下にある筋腫が表層部からの癌の深部浸潤および脈管侵襲を妨げるのに大きく関わっているのではないかと考えられる.

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