日本臨床外科学会雑誌
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大腸癌肝転移切除例の検討-今後の補助化学療法のありかた-
森永 聡一郎今田 敏夫蓮尾 公篤笠原 彰夫宮崎 卓哉鈴木 弘治野口 芳一天野 富薫田辺 浩悌赤池 信杉政 征夫武宮 省治
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1998 年 59 巻 2 号 p. 351-356

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抄録

大腸癌肝転移根治的切除32例について検討した.再発は75%にみられ,再発部位は残肝再発のみ33.3%,残肝および肝外再発37.5%,肝外再発のみ29.2%であった.残肝再発は,肝転移の程度Hl症例にくらべ, H2・H3で有意に多くみられ,原発巣の因子では有意差が無かった.生存率は, H1症例で5年累積生存率50.0%, H2・H3症例では3年生存例はみられなかった. H1症例の検討では,壁深達度の進行例で予後不良の傾向がみられた.肝転移切除後の肝動注補助化学療法により,残肝再発率,生存率ともに改善する傾向がみられたが有意差は無かった.肝切除後再発例の66.7%に肝外再発をきたしていることから,さらなる治療成績の向上のためには,残肝再発予防のための肝動注と,肝外再発予防のための全身補助化学療法を有効に組み合わせていく必要があると考えられた.

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