日本臨床外科学会雑誌
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直腸カルチノイド16例の臨床病理学的検討
平松 聖史千木良 晴ひこ加藤 岳人柴田 佳久尾上 重巳杢野 泰司吉田 克嗣安部 哲也江崎 稔前多 松喜
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キーワード: カルチノイド, 直腸腫瘍
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1998 年 59 巻 2 号 p. 357-360

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抄録

1988年1月から1994年12月の間に経験した直腸カルチノイド腫瘍16例を臨床病理学的に検討し,外科的根治手術の適応について検討した.全例内視鏡的あるいは経肛門的に腫瘍が切除され,組織学的にカルチノイドと診断された.腫瘍径が10mm以上でリンパ管侵襲陽性の3例に対し外科的根治手術としてリンパ節郭清を伴う腹会陰式直腸切除術が行われた.それ以外の13例は腫瘤切除のみ行った. 16例の腫瘍径の平均は9.8mmで,径15mm未満の14例はすべて深達度sm, 15mm以上の2例は深達度はそれぞれmp, alで,第2群リンパ節転移を認めた.平均50.7カ月の観察期間で局所再発,遠隔転移例はみられなかった.以上から,直腸カルチノイドに対する外科的根治手術の適応は,腫瘍径15mm以上が妥当と思われた.

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