日本臨床外科学会雑誌
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腺癌を合併した胃小細胞癌の1例
松田 充宏佐藤 裕俊渡辺 義二山崎 将人鍋谷 圭宏唐司 則之
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1998 年 59 巻 2 号 p. 392-396

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抄録

症例は64歳男性.突然の吐血で発症.近医で上部消化管出血,出血性ショックの診断を受け,当センターに転送された.上部消化管内視鏡検査で,噴門直下前壁に2型病変を認めた.潰瘍面からの出血を内視鏡下に止血できず,胃全摘術を施行した.術中所見はT3N1P0H0M0Stage IIIaであった.切除標本には,内視鏡で認めた2型病変とは独立して,胃体上部後壁にIIa病変も存在した.病理組織検査では, 2型病変部は, N/C比の高い短紡錘型の小型細胞のびまん性の増殖を認めた.また,免疫組織化学染色でchromogranin A陽性, epithelial membrane antigen陽性であり,電子顕微鏡で神経内分泌顆粒を確認したことから,胃小細胞癌と診断した. IIa病変部は,高分化型管状腺癌であった.胃小細胞癌は稀であるが,本症例のごとく腺癌を合併した症例は,内外の文献で過去に2例の報告があるのみであった.

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