日本臨床外科学会雑誌
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長期経過を観察し得たガストリノーマの1例
小林 裕之井田 健青木 孝文河本 泉寺村 康史坂本 力田中 豊彦松本 正朗
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キーワード: ガストリノーマ
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1998 年 59 巻 2 号 p. 397-401

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抄録

ガストリノーマは稀な疾患で,悪性にも関わらず非常に長い経過をとる場合があることが知られている.最近われわれは,非切除手術から15年後に診断が確定し,その間の自然経過を観察しえた1例を経験したので報告する.
症例は76歳の男性. 1982年に十二指腸潰瘍の診断で開腹手術を受けたが,このときの所見で,膵頭部の腫瘍,多発性肝転移,総肝動脈周囲の著しいリンパ節腫大を認めた.治癒切除は不可能な膵癌と判断され,広範胃切除のみを施行された.その後CTなどで経過観察されていたが, 1987年頃から受診しなくなっていた. 1996年,腹部腫瘍と体重減少を主訴に来院した.その時の病態の再評価を行ったところ,血中ガストリン値 (1,440pg/ml), CT,血管造影,生検病理所見からガストリノーマとはじめて診断した.
本疾患は稀ではあるが,胃・十二指腸潰瘍においては常に本症の可能性を念頭に置く必要があると考えられた.

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