日本臨床外科学会雑誌
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高ガストリン血症により胃全摘後,大腸癌およびその肝転移を手術した1例
加藤 俊二恩田 昌彦徳永 昭松倉 則夫田尻 孝田中 宣威山下 精彦
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1998 年 59 巻 2 号 p. 402-407

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抄録

症例は,高ガストリン血症をともなう難治性食道,胃,十二指腸潰瘍で初発,経過中に食道の潰瘍搬痕狭窄,十二指腸潰瘍穿孔を併発した.穿孔部の大網充填による閉鎖術と胃瘻造設後, H2レセプター拮抗剤 (ranitidine) およびプロトンポンプ阻害剤 (PPI: lansoprazole) を投与しその効果を全量採取した胃液にて検討したところ, PPIの倍量投与で著明な胃液量の減少と減酸効果を認めた.画像診断や血管撮影によるガストリン値の選択的測定でもガストリノーマの局在を確認できない高ガストリン血症と強度の食道潰瘍瘢痕狭窄に対し, 2期的にガストリンの標的臓器である胃を全摘し軽快したが,短期間の経過中にS状結腸ポリープ, 1年を経過した段階での左結腸癌の発生,さらに半年後の肝転移と多彩な臨床症状を呈し,さらに臓器摘出後の血清ガストリン値の変動など,高ガストリン血症と悪性腫瘍の関連も注目された.

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