日本臨床外科学会雑誌
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早期胆嚢癌との鑑別が困難であった胆嚢線維性ポリープの1例
曽我 良平杉岡 篤安田 有祐江崎 哲史小森 義之蓮見 昭武
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1998 年 59 巻 2 号 p. 506-511

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抄録

胆嚢線維性ポリープの1例を経験したので報告する.症例は51歳男性で,検診で胆嚢の隆起性病変を指摘された.腹部超音波検査(US)および超音波内視鏡検査(EUS)で,胆嚢底部に最大径22mmのポリープが描出され,その表面は不整で,表面を縁取るようなhigh echo lineと,内部に不均一なlow echo spotの散在が認められた. Ip型,深達度mの早期胆嚢癌の可能性も否定しえなかったため,腹腔鏡下胆嚢摘除術を施行した.摘除胆嚢の病理組織学的検討の結果, WHO分類の線維性ポリープと診断した.
本症は稀な疾患で,本例は本邦26例目の報告例と考えられた.画像診断上,本症と胆嚢癌との鑑別は困難な場合が少なくないが, US, EUSで特徴的な所見を認めた場合には本症を疑い,腹腔鏡下胆嚢摘除術を積極的に選択して確定診断を下すことが,現時点での本症に対する適切な治療方針と考えられた.

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