日本臨床外科学会雑誌
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副腎褐色細胞腫に対する腹腔鏡下副腎摘出術の2例
宮本 康二戸川 保清水 幸雄山北 宜由池田 庸子玉木 雅人
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1998 年 59 巻 2 号 p. 532-536

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抄録

副腎腫瘍に対する内視鏡下手術はまだ日が浅く中でも褐色細胞腫に対する内視鏡下手術の報告例は少ない.今回われわれは左副腎褐色細胞腫の2症例に対して腹腔鏡下に摘出術を施行したところ良好な経過を得たので報告する.症例はいずれも女性で年齢は73歳, 43歳であった.発汗,心悸亢進などを主訴として来院し,腹部CT, MRIで左副腎に腫瘤を認めた.131I-MIBGシンチグラフィーでの陽性所見,内分泌検査で尿中および血中catecholamineの高値を認めたため副腎原発の褐色細胞腫と診断された.手術は右側臥位で腹腔鏡下に腫瘍を摘出した.副腎静脈の処理は終盤に行ったが術中の血圧上昇は軽度で術後経過も良好であった.今回の2症例は腫瘍の大きさ,症状などの点で内視鏡下手術の適応と思われたが今後なお重ねて検討する必要がある.

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