抄録
症例は29歳,女性.主訴は上腹部痛.既往歴,家族歴に特記事項なし.夕食後より心窩部痛,嘔気が出現.その後,腹痛が増強し,近医での胸腹部単純X線写真検査上,左右横隔膜下に遊離ガスを認め,穿孔性腹膜炎の診断で当院入院となった.入院時,上腹部を中心に圧痛,筋性防御を認め,白血球数, CRPの上昇を認めた.胃もしくは十二指腸潰瘍穿孔による腹膜炎を強く考え,手術を選択した.術中所見では,気腹を認めたが,腹水や炎症性の変化は認められず,肉眼および術中内視鏡でも明らかな穿孔部位は確認しえなかった.
既往症に膠原病を考えるような疾患はなく,女性生殖器を介した気腹としても,発症機転となるエピソードもなく,気腹の誘因を確定できず,特発性気腹症と診断した.成人気腹症の中でも極めて稀な例と考えられるので報告する.