抄録
食道・胃重複癌の術前精査に際して偶然に発見した右尿管癌を含む同時性三重複癌の1例を経験した.症例は62歳男性.胃潰瘍の経過観察のため行った内視鏡検査で食道癌と胃癌の重複癌と診断された.術前の腹部超音波検査で右水腎症を認め,尿細胞診の結果右尿管癌を伴っていることが判明した.同時性三重複癌の診断のもとに,食道癌に対し内視鏡的粘膜切除術を行った12日後に,胃全摘術(第2群リンパ節郭清)兼右腎尿管摘出術を施行した.組織像は各々,扁平上皮癌(食道),高分化腺癌(胃),移行上皮癌(尿管)であった.消化器系重複癌の増加に伴い,他科領域癌の重複をも念頭に置いた臨床的対応が重要である.