1998 年 59 巻 5 号 p. 1254-1258
症例は57歳,男性で,慢性腎不全のため約17年前より血液透析を受けていた. 2~3年前から腎性骨異栄養症の症状が強くなったため,上皮小体4腺,計600mgの全摘および自家移植術を施行した.しかし,血清Ca値およびintact-PTHの高値が持続するため,第5腺の存在を疑い, 99mTc-MIBIシンチグラムを施行したところ,左上縦隔に強い集積を認めた.初回手術時,この腺は超音波検査,CT検査, 99mTc-201Tlサブトラクションシンチグラムでも確認できていなかった.再手術を施行したところ,同部位に3.2×1.6×1.2cm, 2,650mgの結節状の過形成上皮小体が発見された.腎性上皮小体機能充進症の場合,異所性上皮小体や過剰腺の発見のために99mTc-MIBIシンチグラムは有用であると思われた.