日本臨床外科学会雑誌
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前胸部に発生した異所性乳癌の1例
大徳 和之大出 華子長谷川 善枝関根 智久高嶋 一敏加固 紀夫鈴木 宗平
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キーワード: 異所性乳癌
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1263-1266

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抄録

異所性乳癌は稀な疾患であるが,そのほとんどが,腋窩部に発生している.前胸部に発生した異所性乳癌は本邦での報告はほとんどない.今回われわれは前胸部に発生した異所性乳癌を経験したので報告する.症例は46歳女性. 1996年1月に左側胸部のしこりに気付き,近医受診.近医にて前胸部のしこりも指摘され,側胸部の摘出生検のみうけたところ転移性リンパ節でありadenocarcinomaの診断であった.全身的に原因検索を行うも,消化器系,婦人科系には異常はみられず,当科紹介入院.穿刺吸引細胞診にてclass IVを得,異所性乳癌または潜在性乳癌疑いにて手術施行した.術中迅速標本にてinvasive ductal carcinomaの診断であったので,非定型的乳房切除術を施行する.術後標本の検討により異所性乳癌であることが判明している. 1997年9月現在患者は再発の兆候は見られず健在である.

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