日本臨床外科学会雑誌
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穿孔性腹膜炎にて発症した小腸Crohn病の1例
中坪 直樹山口 博紀佐藤 宗勝奥村 稔高橋 敦
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1295-1299

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抄録

Crohn病は,口腔から肛門までの消化管を非連続的に全層にわたって侵し,潰瘍や線維化およびリンパ球形質細胞を主体とする細胞浸潤をともなう非乾酪性肉芽腫性炎症である.合併症として狭窄,瘻孔形成,膿瘍形成,出血などがあるが,消化管穿孔はまれとされる.しかし,本症の診断例の増加に伴い本邦でも穿孔例の報告が増加している.本症の穿孔は,治療経過中ばかりでなく穿孔性腹膜炎で発症するいわゆる急性発症例も少なくなく,腹部救急診療の領域においてもその診断,治療の重要性が高まっている.われわれは,前駆症状を認めず,突然の腹痛,発熱で発症し穿孔性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した際, Crohn病が疑われた34歳,男性の1症例を経験した.本症の急性腹症としての意義を含め,文献的検討を行った.

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