日本臨床外科学会雑誌
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腸管出血を契機に回腸穿孔をきたした小腸Crohn病の1例
吉岡 輝史山田 恭司千佐 俊博奥村 権太丹生谷 直樹岩崎 光彦
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キーワード: Crohn病, 遊離穿孔
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1300-1304

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抄録

腸管出血を契機に回腸穿孔をきたした小腸Crohn病の1例を経験した.患者は23歳,男性. 16歳時にCrohn病と診断されていた.暴飲暴食後,腹痛出現し内科救急外来受診.腸閉塞と診断され入院加療となった.翌日,下血,筋性防御出現し腹部CT検査にてfreeairを認めたため緊急手術を施行した.開腹所見では血性腹水を中等量認め,回腸末端部より口側約70cmの腸間膜側に穿孔部が存在した.穿孔部より口側の腸管は拡張が著明で内部は大量の血塊で満たされ,さらに穿孔部周囲の腸間膜が腫大し内部に血塊が存在した.回腸部分切除術を施行.肉眼標本では腸間膜側の縦走潰瘍の一部が穿孔していた.手術・病理所見より潰瘍周囲粘膜下層の血管が破綻し,腸間膜内・腸管内に血塊が形成され腸管内圧が上昇し穿孔が起きたと推察した.腸管出血を伴ったCrohn病の穿孔は稀であると思われたため報告した.

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