日本臨床外科学会雑誌
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柿胃石による腸閉塞の1例
松田 光弘権田 厚文藤井 佑二勝浦 康光冨木 裕一櫻井 秀樹
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キーワード: 柿胃石, 小腸閉塞
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1305-1308

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抄録

症例は52歳,女性.柿を3カ月間にわたり毎日15個以上摂取していたが,腹痛,嘔吐が出現し近医受診.腸閉塞の診断で当院紹介され入院となった.小腸造影検査で下部小腸に閉塞がみられ,同部位の超音波検査で4.5cm大の音響陰影を伴う腫瘤を認めた.柿胃石による腸閉塞を疑い手術を施行した.回盲部より40cm口側の回腸にクルミ大の異物が嵌頓していたため,異物直上の回腸を切開し,異物を摘出した.結石分析では,タンニン酸が主成分であり,柿胃石と診断した.
胃石による腸閉塞の術前診断は難しく,開腹してはじめて診断がつくことが多い.嗜好品の入念な問診を行うことはもとより,小腸造影検査を行い,閉塞のみられた部位の超音波検査で音響陰影を伴う高エコー像が認められた場合は,胃石による腸閉塞を念頭におき,診断治療することが望ましいと思われた.

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