日本臨床外科学会雑誌
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原発性早期虫垂癌の2例
栗原 毅小島 康知貞本 誠治中塚 博文羽路 一谷山 清己
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キーワード: 早期癌, 虫垂癌
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1328-1331

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抄録

原発性早期虫垂癌の術前診断は極めて困難であり,術後の病理組織学的検索によって初めて癌と診断される場合が多い.今回われわれは1986年7月から1996年12月までの10年6ヵ月間に虫垂原発の早期癌を2例経験したので報告する.症例1,症例2とも急性虫垂炎の診断にて虫垂切除術を施行.症例1は病理検査にてm癌であったが,切除断端陽性であったため,後日回盲部切除術D2を施行した.症例2は術中虫垂根部に腫瘤性病変を認めた為,根部まで完全に切除.摘出した虫垂根部に扁平隆起性病変を認め, sm癌と診断.後日回盲部切除術D2施行. 2症例とも追加切除標本に残存腫瘍組織も,リンパ節転移も認めなかった.
以上2症例より術中肉眼所見の重要性と,成人の虫垂炎症例では,悪性腫瘍も考慮した病理学的検索が必要であると考えられた.
また1997年7月までに検索し得た本邦の原発性早期虫垂癌19例に上記2症例を加えて,若干の考察を加えた.

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