日本臨床外科学会雑誌
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結腸癌の骨盤腔内転移に対してリザーバー留置による内腸骨動注療法と放射線照射が有効であった1例
坂本 洋一村上 貴久三品 壽雄加藤 紘之
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1341-1345

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抄録

症例は45歳,男性. 1994年5月に進行大腸癌の診断で横行結腸切除術を施行した.以後,外来通院中に1995年5月にS状結腸間膜再発を認め低位前方切除術を施行した.しかし1996年1月に骨盤腔内再発が確認され入院となった.家族歴は3親等以内に癌患者が7人. 1996年2月7日に両側上下臀動脈をコイル塞栓し大腿動脈より各対側の内腸骨動脈にカテーテルを留置し,リザーパー本体を下腹壁皮下に埋没した. 2月19日からCDDP, 5-FU, leucovorinの動脈内投与を開始, 4月1日より6週間で合計50Gy/25回の放射線外照射を施行した. 5月初旬には腫瘍も軟化し5月21日の大腸内視鏡検査では腫瘍の瘢痕化を確認した.照射部の中等度皮膚炎以外は著明な合併症もなく6月5日に退院した.以後,外来で週1回の投与を施行した. 1997年現在,腫瘍は増大傾向だが一時的にでも症状緩和,腫瘍の縮小が得られたことは有効と判断した.

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