日本臨床外科学会雑誌
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直腸原発内分泌細胞癌の1例
島田 謙上野 聡一郎大島 行彦中村 秀夫比企 能樹柿田 章
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1346-1349

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抄録

症例は70歳男性.下血・肛門痛を主訴に来院した.注腸検査および大腸鏡検査にて直腸の2型の腫瘍を指摘された.生検にて直腸未分化癌と診断,腹会陰式直腸切断術を施行した.病理組織学的検査にてneuroendocrine characterを有する未分化癌と考えられ, small cell undifferentiated carcinoma (SCUC)と診断された.後日施行した電子顕微鏡による検索では,神経内分泌顆粒を認め,直腸内分泌細胞癌と診断した.
消化管内分泌細胞癌は,生物学的悪性度が高く予後不良とされている.肺小細胞癌に形態が類似してはいるが,多剤併用の化学療法が有効であったとの報告は少ない.生検で低・未分化癌であれば,内分泌細胞癌を疑い,現在,有効な治療法は無いが,リンパ節転移や血行性転移を考え,手術や化学療法も含めた集学的な治療が必要と考えられた.

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