日本臨床外科学会雑誌
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肝動注化学療法,肝切除術が奏効し,長期生存中の大腸癌多発性肝転移の1例
西島 弘二薮下 和久木村 寛伸前田 基一小西 孝司辻 政彦
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1364-1368

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抄録

症例は42歳の男性.多発性肝転移を伴う横行結腸癌に対し,横行結腸切除術,肝動脈内tubingを施行した(H2, P0, se, n0,tub1, ly0, v0).術後2カ月間, MMC, 5-FUによる持続肝動注化学療法を施行したところCT上肝転移巣は消失し, CRと判定された.術前CEA値も17.5ng/mlより正常値に復し,以後UFT400mg/日経口投与にて経過観察を行った.術後2年3カ月目にCEA値が17.7ng/mlと上昇し, CTにて肝S6の転移巣が判明したため,肝S6部分切除術,再度の肝動脈内tubingを行った.術後5カ月間, 5-FU, MMC, ADMによる肝動注化学療法を施行したところ, CEA値は正常値に復した.以後, CEA値, CTによる経過観察を続けているが,初回手術後12年間,再燃,再発の徴候は認めていない.

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